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「マンションは管理を買え」はもう古い

2016年06月22日 16:00

 「マンションは管理を買え」はもう古い 

2016/6/22 日本経済新聞より

不動産コンサルタント 田中歩

 
 マンションを買うとき、皆さんが気にされることの一つに「管理の状況」があります。「管理会社が大手なら安心」といった声はよく聞かれますが、特に中古マンションについては管理会社だけではなく、「実際どんな管理がなされているのか」「何かトラブルは発生していないか」「修繕積立金や建物劣化状況などの面で将来問題になりそうな事象はないか」といった点が最も気になるポイントだろうと思います。

 一般の不動産業者は売買契約の前に発行する「重要事項説明」の中で、管理費・修繕積立金やその滞納の有無などについてはある程度、説明してくれます。ただ、細かな部分について説明する義務は負っていないことから、購入した後に「こんな話は聞いてなかった」ということが起こりがちです。

 そこで、契約前に「定期総会議案書」や「総会議事録」「長期修繕計画案」などの書類を不動産業者から入手し、読み込んでおくことが必要となります。

 定期総会議案書にはマンション管理の決算や予算に関すること、修繕計画や役員の選出、その他マンション内で課題になっている事象(滞納問題、ペット問題など多岐にわたります)についての議案が記載されています。

 総会議事録にはこれら各議案の決議内容や、決議事項以外で出された意見などが記載されています。マンション内で課題になっていることがよくわかりますし、管理組合が活発に活動しているかどうかもうかがい知ることができます。

 長期修繕計画案は20~30年後の修繕計画案で、修繕にかかる支出と修繕積立金の収入が年ごとに記載され、各年の累計とその収支が記載されています。

 必ずしもこの計画通りに修繕を進めるわけではありませんが、今後、修繕積立金をアップしなければならない時期がいつ頃になるか、累計の収支が赤字になる時期を確認すれば、ある程度予測することができます。

 なお、これらの書類は、不動産業者にお願いしても入手できないことがありますので、その場合は売り主にお願いして見せてもらうとよいでしょう。売り主がこれらの書類を持っていない場合、売り主から管理会社に頼んでもらい、書類を見せてもらうことも可能です。

 こうした書類を読み込むことで、管理の現状についてはある程度見えてきます。分譲マンションの購入を検討する以上、今後の分譲マンション管理における大きな課題である「2つの高齢化問題」(建物の高齢化と入居者の高齢化)について認識しておく必要があると思います。

 国土交通省によれば、築40年超のマンションは現在51万戸あり、10年後には3倍の151万戸、20年後には6倍の296万戸となるなど、今後、老朽化マンションが急増する見込みです(グラフA)。

       A         B

 さらに、築後年数が長いほど高齢者の入居率が高く、マンション管理がままならない状況が発生しつつあるとしています。マンション管理組合の理事就任を引き受けない理由の第1位が「高齢だから」という結果になっているからです(グラフB)。

 高齢者の入居率が高くなると、「残りの人生が短いから、これ以上修繕する意味はない」といった思考をする人が増える可能性があります。修繕すべき部分が修繕できず、マンション自体の維持管理レベルが低下し、仮に立地がよくても資産価値が下がりかねないということになるのです。

 こうした話を聞くと、分譲マンションに未来はあるのだろうかと思ってしまいそうですが、築30年を超えるマンションでも、新たな試みによって資産価値を落とさない工夫をする管理組合が出てきました。

 有名なマンションの一つとして「パークシティ溝の口」が挙げられます。

 パークシティ溝の口では、管理会社にマンション維持管理を任せっきりにすることなく、管理組合自らが主体的に大規模修繕に取り組むことに加えて、近隣のマンション管理組合と維持修繕や防災面で情報交換をしたり、町ぐるみのお祭りなどを開催。マンション居住者だけでなく地域とのつながりを生み出すイベントなどを通じ、地域全体の価値が上がるような活動を行っているそうです。

 そして、こうした活動が奏功し、売り物件が出ると若い世代が購入するケースも出てきているそうです。マンションの所有者である管理組合の人たち自らが主体的に活動することで、2つの高齢化問題に立ち向かっている好事例といえるでしょう。

 かつてこのマンションの理事を務めた筆者の友人によると、成功の鍵は、管理組合自らが資産価値維持のために必要な「経営」をしたことだそうです。

 まさに、マンション管理は人任せにするという意味での「管理を買う」のではなく、「自ら経営」し資産価値を維持するというのが当たり前、という時代に入ってきたのかもしれません。

 
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