マンションの修繕方式は、設計監理と責任施工があります。前者は設計と施工を分離するもので理想的とも言えます。具体的には、企画調査、診断、仕様・工法の検討、工事費の積算、業者選定の際の見積チェックを設計事務所等に委託し、工事開始後は、適切に行われているかを監理してもらうものです。施工費用の他に設計会社に高額の設計費用が必要とされ、規模の小さいマンションでは採用が困難です。
当社が管理するマンションはその多くが後者にあたりますので、以下責任施工方式での修繕のご説明をします。
修繕工事の合理的な進め方
- 相見積が取れるよう、組合が複数業者を各業種とも把握すること。
- 金額や内容に応じて見積の取り方や決定方法をルール化する。
- 数年に1度は修繕積立金の見直しができるようなルール化をする。
見積作成のルール化について
- プロでもない限り、1社の見積だけで、それが高いか安いかの判別はつきにくく、コンサルを入れてプロがチェックするか、複数見積を取るのが基本となります。
- 専門性が強く要求される内容では、素人は簡単には見積も取れません。管理組合独自のルールを作りましょう。
- 業者が見積を無料で出すのは仕事の可能性からなので、やはり段取りよく相見積を取れるルールを組合として定着しましょう。理想は、電気・管工事・塗装・建築内装・消防等を3社程度確保が望ましいです。
ルール化の例
- 理事長決済で進めて良いもの、相見積を取り比較検討を必ず行うものの区別を行う。有料で専門家に相談するのもひとつです。
- 管理会社単独での見積は、予算案に基づいて、参考として早めに出させましょう。相見積を取るかどうかは理事会として判断することです。
- 管理会社が工事に参加希望であれば、管理とは別にルールに合わせて見積を出させましょう。
- 規模修繕等計画性を伴うものは、例えば担当チームを作り、公開入札を原則とするのも一つの方法です。
重要ポイント
- 予算との整合性(予算の根拠の再確認)が重要です。
- 工事の内容と良し悪しは素人には判断がつかないので、様々なチェック方法を話し合いましょう。
- 管理会社の単独見積を受け入れるかどうかの選択では、発注が前提で話が進んでしまうことがあるので気をつけましょう。
- 比較すればある程度認識は深まります。相見積の具体的な数字で合理的コストカットの成功を導きましょう。